自分の周囲にいる人を見て、「どうしてあのような態度をとるのだろう」と思うことはありませんか?私たちは心理学を活用することで、その人がどのようなタイプか、あるいは行動パターンなど身体に表れる様々な動きを手掛かりにして、隠された深層心理を読み取ることができます。
人の不幸を喜ぶ自尊感情とは?
例えば、あなたの周りにも何かと他人の不幸を喜んだり、他人が不幸になることを願ったり、他人に幸せを妬んだりする人がいるのではないでしょうか。
その人が経済的・社会的に恵まれているような場合はなおさらで、「きれいなお嫁さんをもらった」「家を新築した」という他人の話を妬ましく思ったり、その人が後になって「離婚した」「家が火事になった」などと聞くと、不道徳だとわかっているのに、その人の不幸を楽しんでしまう人はいます。
他人の不幸を不幸を喜んでしまうのは、相手を見下して自分が優越感に浸ることで、自分が幸せな気分になろうとする心理がはたらくからです。
特に、相手が自分よりも恵まれていればいるほど「あの人は幸せそうだったけど、今のあの人に比べたら私の方が幸せ」という意識がはたらき、その人のに勝ったような気分になるのです。
劣等感と自尊感情
「同期の中であいつだけ出世しやがって」などと、他人の幸せを妬ましく思う気持ちも同様です。これも、自分と他人を比べた結果、自分が劣るように思え、「劣等感」を抱くために起こる心理なのです。
人は自分と他人を比較して優劣を決めがちですが、「自尊感情」が弱いほど傾向が強くなります。
自分と他人を比較して、一喜一憂しないようにしたいものですね。
- 自尊感情とは?
- 自分自身を肯定的に評価する感情のこと。この感情が一定以上に強いと、自分と他人を比較しても優越感や劣等感による刺激をそれほど受けなくなるが、強すぎると自信過剰になり、「自分には価値があるのだから、尊重されるべき人間だ」という心理がはたらくので注意が必要。
引き下げの心理とは?
何かにつけて人を批判したり、悪口や誹謗中傷を言ったりする人は、この劣等感(コンプレックス)が強いのだと考えます。自分よりも優れている相手に対して抱いている自分自身の劣等感を消すために、相手の価値を引き下げることで同じ立場に立とうとする意識がはたらき、相手に対して不遜な態度をとってしまうのです。
これは、心理学では「引き下げの心理」と呼ばれます。
- 引き下げの心理とは?
- 「引き下げ心理」とは、うらやましいとか勝てないと思い込んでいる相手の悪いところを見つけて、価値を引き下げることによって、自分と同じようなレベルに価値をおとしめようと考える心理を指す。根拠もなく相手をおとしめることで自身のコンプレックスを打ち消して、優越感を得ようとする。
同じ批判や悪口でも、家族などの身内のそれをよく言うタイプの人もいます。「受験といえば、息子が一流大学に合格したのよ」「あら、うらやましい。それに引きかえ旦那ときたら」といった具合に、どんな話をしていても最終的には家族の自慢、あるいは逆に家族への愚痴に話をもっていくのです。
身内の自慢や愚痴を話題にしがちな人は、広い世界に飛び出していくことが怖く、自分の領域に閉じこもっている人が多いようです。このようなタイプの女性、特に主婦にありがちなものといわれていますが、これにも訳があります。
一般的に主婦は家にいる時間が長く、外の世界との接触が少なくなるため、どうしても自分の身のまわりのことが主な話題になってしまうからです。
迎合行動とは?
人の事を悪く言う人がいる一方で、「あいかわらず頭がいいですね」「今日もカッコいいですね」などと、やたらとほめてくる人もいます。
誰でも褒められれば悪い気はしないものですが、もしかしたら心にもないお世辞を言っているだけで、単なる「ゴマすり」や「おべんちゃら」、ヨイショされている可能性もあります。お世辞を言う人の心理は、心理学でいうところの迎合行動で説明ができます。
迎合行動はお世辞や賛辞のほか、相手の意見に賛成するなど、相手の行為を得るための言動を指します。
「私は頭がわるいので」などと自分を卑下する発言も、この迎合行動に当てはまります。この人は自分の事を「頭が悪い」と本気で思っているわけではなく、自分を低く見せることで相手を持ち上げようとする心理がはたらいているのです。
ですから、必要以上に自分を卑下する人が、本心では「そんなことはないよ」と相手から否定してもらいたいと思っているケースもしばしばあります。
自分を卑下する発言は、自分に自信がなく、他人にもめったに褒められることがないという人に多いようです。そのように「自己評価」が低い人は、あえて自分をおとしめ、それを相手に否定してもらうことで自尊心を満足させるのです。
- 自己評価とは?
- 自分が自分自身に対して行う評価。肯定的な自己評価のことを「自信」と言い換えることもある。
迎合行動のパターン
お世辞という言動以外にも、迎合行動には様々なパターンがあります。「迎合行動」のパターンについてご紹介します。
賛辞
お世辞を言うことで相手をいい気分にさせ、相手からの好意を得ようとする行動。
これが、1番多い迎合行動の1つです。
ちゃんと心から思っていることで、褒めるのは良いですが、心にもないことで褒めてはただの嘘になってしまいますし、大袈裟なお世辞は、明らかにウソとバレるので注意が必要です。
卑下
賛辞とは反対に、自分を下にすることで相手を持ち上げて相手からの好意を得ようとする行動。
これも相手からの好意を得ようとしてする行動の一つです。
自己評価が低い場合にも自分を卑下する場合があります。
同意
相手の意見に賛成・同調する行動。
これは、普段の生活の中で誰もがしたことがある行動だと思います。
しかし、周囲の人たちと同じ行動を取ろうとする心理が働く「同調行動」は多用しすぎると「自分の意見がない」「八方美人」と思われてしまう事もあるので注意が必要です。
親切
その人の行動に注意し、何かと気を配る。
これは、相手からの好意を得ようと特別な人に対してだけ親切な行動を行うことです。