あなたは「結婚詐欺師」と聞くとどんな人物像を思い描きますか?
多くの方が、いかにもお金をもっているような実業家や一流企業の社員を気取る男性をイメージするでしょう。
たしかに詐欺師として逮捕されている報道をみると圧倒的に男性が多いので、自然と「結婚詐欺に気をつけるべきは女性」という意識が芽生えてしまうはずです。
しかし、これが大きな落とし穴となります。
世の中には「女性の結婚詐欺師」も存在しているのです。
しかも、当の詐欺師に言わせれば「男のほうがだましやすい」というのだから、男性も無防備でいるわけにはいきません。
このコラムでは「女性の結婚詐欺師」の手口や特徴を解説しながら、被害に遭いやすい男性の傾向や詐欺被害に遭った場合の対処法を紹介します。
女性の結婚詐欺師も存在する!
手練の結婚詐欺師のなかには女性も存在しているのは事実です。
「結婚したい」「添い遂げるパートナーが欲しい」という想いは男女共通なので、結婚詐欺には性別に関係なく警戒する必要があります。
平成29年7月には、北海道の知人男性から現金1,000万円をだまし取った容疑で40歳代の女性とその夫が逮捕されました。
農業を営む50歳代の男性に結婚をほのめかして近づいて「父親が事業で失敗した、自宅を売れば返済できる」と嘘をつき、夫名義の口座に現金を振り込ませた疑いです。
【参考:結婚ほのめかした女、男性に要求したのは… 詐欺容疑で逮捕|産経ニュース】
この事例のように、女性詐欺師は単独での犯行だけでなく夫婦が結託して詐欺をはたらくケースもめずらしくありません。
女性結婚詐欺師の手口
女性結婚詐欺師はどのような手口でお金をだまし取るのでしょうか?
「結婚資金が必要」
結婚式の費用や新生活に必要な支度金を名目にお金をだまし取る手口です。
次から次へとさまざまな名目で小刻みにお金を求められて「気づいたときには大金をだまし取られていた」という事態に発展します。
「借金を返済しないといけない」
「多額の借金を抱えている」と嘘をついて、返済名目でお金をだまし取る手口です。
まとまった金額を請求しやすいため一度の被害金額が多額になるのが特徴で、被害者は「借金さえ返済すれば結婚できる」と信じ込み、喜んでお金を差し出してしまいます。
「夫(元夫)への慰謝料が必要」
「夫に慰謝料を払って離婚しないと結婚できない」「結婚を知ったら元夫が黙っていない」と嘘をつき、慰謝料名目でお金をだまし取る手口です。
頼もしい男性を装いたいという気持ちを巧みに突く戦法で、やはり被害者は「自分の財力で夫を黙らせてやる!」と意気込んでお金を差し出してしまいます。
結婚詐欺師を見破る方法
結婚詐欺師は、結婚に向けた明るい恋愛を演出するのが実に巧みです。
悪質な結婚詐欺師を見破る方法はあるのでしょうか?
名前や住所、勤務先に偽りがないかチェック
教えられている名前・住所・勤務先が真実なのかを確かめることで、結婚詐欺を未然に防ぐことができます。
結婚詐欺師は、この3つのどこかにほぼ必ず嘘があります。
身分証をみると名前が違う、自宅の大まかな場所は知っているが詳しい場所は知らされていない、勤務先の情報があいまいなら、結婚詐欺師かもしれません。
友達や家族をきちんと紹介してもらう
結婚詐欺師は被害者が「だまされた!」と気づいたあとに足取りを追われないように、できるだけ自分につながる証拠を残さないようにします。
家族・友人・同僚などに会わせてくれない場合は結婚詐欺師のおそれがあるでしょう。
試しに「今度、ご両親にあいさつに行こう」と伝えてみてください。
あやふやな答えが返ってくるようなら疑いの目を向ける必要があります。
名前をネットで検索してみる
結婚詐欺師の多くは偽名を使います。
もし一流企業の社員や実業家を名乗っているなら、名前をインターネットで検索してみるのがおすすめです。
実名登録のSNSから顔写真が確認できる場合は安心できる材料になりますが、まったくの別人の顔写真がヒットしてしまう場合はその人の名を騙った結婚詐欺師かもしれません。
写真を撮らせてもらう
結婚詐欺師に限らず、犯罪者は写真を撮られることを嫌います。
これまでに警察に捕まったことがある詐欺師なら、警察で顔写真を撮影されていて、事件が発覚した際には顔写真から自分の犯行だとバレてしまうことを知っているのです。
単に写真嫌いな人もいますが「ふたりで写真を撮ろう」ともちかけても極端に嫌がるようなら結婚詐欺を警戒する材料になるでしょう。
お金を貸すときは困っている証拠と借用書を用意
「借金を返さないといけない」「慰謝料が必要」などとお金を要求されても、話だけでうのみにしてはいけません。
本当にそんな請求を受けているのかを確認できる証拠を提示してもらいましょう。
どうしても信用してあげたいと感じるなら、借用書を作って担保するべきです。
「証拠をみせてほしい」ともちかけた途端に態度が冷たくなる、姿をくらますようなら、結婚詐欺かただのお金目的の可能性が高いです。
女性結婚詐欺師の年齢・特徴など
女性結婚詐欺師を年齢やそのほかの特徴で見破ることはできるのでしょうか?
意外にも中高年が多い
女性結婚詐欺師といえば、若い女性をイメージする方が多いはずです。
結婚相手としては、できるだけ若い相手を好むのは当然でしょう。
ところが、実際の女性結婚詐欺師は中高年が多数です。
これは被害者となりやすい男性の年齢層に見合った特徴で、冒頭で紹介した実例のように「被害者50歳代・結婚詐欺師40歳代」といった構図は典型的だといえます。
要は被害者からみて「少し年下」であれば、ある程度の年齢を積み重ねていても結婚対象としてみられるということです。
見栄えが良いわけでもない
結婚詐欺師というからには、誰からも「美人だ」と思われるような見栄えの良い女性を想像してしまいますが、結婚詐欺師の素養に見栄えはあまり関係ありません。
むしろ、女性結婚詐欺師の多くはお世辞にも美人とはいえないような人ばかりです。
平成21年の逮捕を皮切りに過去の交際相手が次々と不審な死を遂げていたことで有名になった木嶋佳苗死刑囚をご存知でしょうか?
彼女は決して見栄えの良い美人タイプではなく、世間では「なぜこの女性に結婚詐欺が成功したのか」と話題になったほどでした。
では、なぜそのような女性に魅了される男性がいるのでしょうか。
理由の1つとして、男性の女性経験の少なさが影響していると考えられます。
あまり女性と話したり遊んだりしたことない人は、女性に免疫がなく、ちょっとした挙動から自分に好意を寄せていると思い込んでしまう傾向にあります。
また、明らかに美人な人が突然自分と親しくなろうと近づいてきたら警戒しますが、容姿があまり目立つ人でなければそこまで警戒される心配もありません。
つまり、女性経験の少ない男性は、容姿はあまり関係なく、むしろ、リラックスして話せるかどうかなどが魅かれる大きな要因の1つのようです。
そのため、気負わないで話すことのできる、見栄えの良い美人タイプではない人が結婚詐欺に成功するケースが多いと考えられます。
結婚詐欺師にひっかかりやすい男性の特徴
女性結婚詐欺師はどんな男性をターゲットにするのでしょうか?
詐欺被害に遭いやすい男性の特徴をピックアップしてみたので、ご自身に当てはまるものがないかをセルフチェックしてみましょう。
結婚願望が強い・適齢期を過ぎている
結婚願望が強い男性は、とにかく「結婚相手がほしい」という想いが強すぎるせいで脈があると感じたら盲信してしまう傾向があります。
また、結婚適齢期を過ぎてしまっている男性は結婚に焦りを感じてしまっているので、通常なら「おかしい」と気づくような違和感があってもこれに気づけません。
収入に余裕がある人
収入に余裕がある人は結婚詐欺師のターゲットになりやすいので、被害にも遭いやすくなります。
「自分は警戒しているので大丈夫」などと安心してはいけません。
手練の結婚詐欺師はお金の匂いに敏感なので、高収入であればまるでドラマのような恋愛を演出してお金をむしり取りに近寄ってきます。
女性に免疫がない人
これまでに恋愛経験が少ない人は、女性に対する免疫が弱いためひとりの女性に対して「好きだ」という感情を抱くとすぐにのめり込んでしまいます。
これは、都市部の男性にも見られますが、とくに農村・漁村などのような田舎町で多く見られる傾向です。
過去に女性経験がほとんどない、あっても性風俗店にいったことがある程度などの場合は、一度でも身体の関係を結んでしまえばまず詐欺師の術中にハマってしまいます。
お人よし・優しすぎる人
性格が「お人よし」「優しすぎる」といわれる方は、結婚詐欺師が近寄ってきても疑いもせずにピュアな恋愛だと勘違いしてしまいます。
本来は人に誇るべき長所ですが、結婚詐欺師に狙われやすいので注意しましょう。
とくにSNSのコメントや返答にも人の良さがにじみ出ているような方は警戒を強めてください。
真面目過ぎる人
性格が真面目すぎる人も要注意です。
結婚詐欺師が「借金返済に困っている」と嘘をついて泣きついてくると、疑うばかりか「自分がなんとかしてあげたい」とお金をだまし取られてしまいます。
結婚詐欺にあった場合、しかるべき手続きを経て慰謝料を請求することが大切です。 慰謝料の金額は、被害の状況によって大きく異なるため、大体の相場を確認しておくことをおすすめします。 また、被害にあってから慰謝料を請求するまでの流れや[…]
結婚詐欺にかかったときの対処法
結婚詐欺の被害に気づいたら、どのように対処すればよいのでしょうか?
実際にお金をだまし取られてしまったら頼るべきは警察ですが、お金を取り戻すには弁護士の協力が必要です。
また、まだ実害がないうちなら探偵への依頼で被害を回避できる可能性もあります。
警察に被害届を出す
実際に結婚詐欺師からお金をだまし取られてしまった場合は、警察に被害届を提出しましょう。
犯人の身柄を拘束できる権限をもっているのは警察官だけです。
被害に遭った証拠をもって警察署で被害届を提出すれば、警察が逮捕してくれます。
ただし、警察が逮捕して裁判で有罪になったからといって、被害者の心の傷が癒やされるわけではありません。
しかも、警察ではだまし取られたお金を取り戻す手伝いをしてくれないので、お金を取り戻すには民事訴訟を起こす必要があります。
弁護士に相談する
だまし取られたお金を取り戻すには、結婚詐欺師に対する裁判を起こす必要があります。
個人でも裁判を起こすことは可能ですが、被害の証拠を揃えたり、裁判に出廷したりといった手間が多く、さらに「もう会いたくもない」と感じている犯人の顔をおがまないといけません。
より確実にお金を回収したいなら、弁護士にサポートを求めるべきでしょう。
探偵に相談する
まだ金銭的な被害が発生していない段階や「もしかして結婚詐欺なのでは?」という疑いを確認したいのであれば、探偵への依頼をおすすめします。
「結婚詐欺かも」と感じて警察に相談しても、個人の前科・前歴や結婚詐欺の可能性については回答してくれません。
実害がないうちは「相手とよく話し合うこと」「お金を渡すときは借用書などを作成すること」といった一般的なアドバイスに落ち着いてしまうでしょう。
個人の素性を調べたいなら、調査のプロである探偵に依頼するのがベストです。
探偵に調査を依頼すれば、偽名を使い、住所や勤務先を偽り、家族関係や結婚歴を隠していても、すべての真実が明らかになります。
結婚詐欺師が警戒して姿をくらましてしまった場合でも、わずかな情報を手がかりに足取りがつかめる可能性があります。
弁護士事務所と太いパイプをもっている探偵事務所に依頼すれば、だまし取られたお金の回収も期待できるでしょう。
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まとめ
結婚詐欺師は男性ばかりではありません。
女性の結婚詐欺師も存在しているうえに、男性のほうが女性よりもだまされやすく被害も深刻化する傾向があります。
現在の交際相手や婚約者について「もしかして結婚詐欺師かも」と疑う状況であれば、調査のプロである探偵への依頼がおすすめです。
結婚詐欺の回避に有効なのはもちろんですが、調査によって疑いを晴らすことで安心して結婚に踏み切ることもできるでしょう。